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投球障害肩パート5~SLAP損傷~

SLAP(スラップ)損傷とは

SLAP損傷とは、肩関節の二頭筋長頭腱(ちょうとうけん)が付着する部位に損傷が生じた状態を指します。SLAPは、Superior Labrum Anterior to Posteriorの略で、日本語では「上方関節唇の前部から後部の損傷」と訳されます。

関節唇イラスト

肩関節の上側には、二頭筋長頭腱が付着しています。この付着部には、肩関節を安定させるために、環状の軟骨組織である「関節唇(かんせつしん)」が存在します。

二頭筋長頭腱は肩甲骨上方に付着

SLAP損傷は、この唇部分が損傷を受けることを指し、肩関節の安定性に問題が生じることがあります。

SLAP損傷の症状

投球動作のコッキング期で肩関節後方の疼痛や引っかかり。その他不安定感、力の低下、肩関節の可動域の制限などがあります。

SLAP損傷の原因

SLAP損傷は、スポーツなどの肩関節に負担がかかる動作を繰り返したり、急激な力が加わったりすることで発生することが多く、野球投手やテニスプレーヤーなどのスポーツ選手に多く見られます。

また、転倒や急激に引っ張られたり、肩関節の老化によっても発生することもあります。

スポーツ障害の場合、肩関節後方の硬さや肩甲骨可動域の低下、胸郭の機能低下、腱板(肩の周りについている筋肉)の弱化が原因で発症します。

肩甲胸郭の機能が低下している状態(特に肩甲骨を内側に寄せる機能が低下している状態)や肘下がり、体の開きが早い投球フォームでは、肩を必要以上に後ろ側、外側に広げるために、肩の後上方で腱板と関節唇がぶつかり、損傷します。

また、投球動作の度に二頭筋の牽引力が働き、関節唇は二頭筋と一緒に肩甲骨から剥離し、しばしば腱板断裂を合併します。

SLAP損傷の検査

MRI等の画像検査で確定します。徒手検査では

1)Anterior Slide Test(前方スライドテスト)

2)Yergason Test(ヤーガソンテスト

3)Compression Rotation Test(圧迫回旋テスト)

4)Pain Provocation Test(痛み誘発テスト)

5)Anterior Apprehension Test(前方不安定感テスト)

6)Biceps Load II Test(上腕二頭筋負荷テスト II)

SLAP損傷へのアプローチ法

治療方法は、損傷の程度や症状によって異なりますが、早期に適切な治療を行うことが、完全な回復につながることが多いです。損傷のフェーズにより異なります。

保存治療では肩の内旋と水平内転の柔軟性獲得が大切になります。

症状が重い場合には手術する必要があります。

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