ビジョントレーニングは、視覚の機能を改善するために行われるエクササイズやプログラムのことで、当初、発達障害を抱える子どもたちに対しても有効とされていました。発達障害には自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれ、これらの障害がある子どもは、視覚情報を正確に処理する力や集中力、注意力が課題となることが多いです。ビジョントレーニングはこうした子どもたちが抱える視覚処理の課題を補い、学習や日常生活の中でのパフォーマンス向上を目指す支援方法として注目されていたのです。
視覚処理能力は、日常生活だけでなく学習にも大きく関わっています。例えば、文字を読むとき、黒板を見てノートに書き写すとき、図形や数式を理解するときなど、視覚情報を適切に処理できることが求められます。しかし、発達障害がある場合、視覚からの情報をうまく整理したり、視覚的な注意を保つことが難しいケースが少なくありません。例えばADHDの子どもたちは視覚的な注意力が持続しにくいため、授業中に周囲の動きや音に気を取られやすく、重要な情報を見逃してしまうことがあります。また、自閉症スペクトラム障害を抱える子どもたちは視覚的な刺激に過敏であることがあり、特定の視覚情報を整理するのに苦労することもあります。
ビジョントレーニングは、こうした視覚処理の課題を軽減するためのトレーニングであり、視覚認知力や集中力を向上させることが可能です。具体的なエクササイズには、目で動くものを追う「追視訓練」、異なる距離にある物体を交互に見ることで「目の調整力を鍛える訓練」、または視覚的な「情報を素早く捉える練習」などが含まれます。これにより、視覚情報のキャッチアップやフォーカスを保つ力が身につきます。たとえば、ADHDの子どもが黒板の文字をすばやく目で追うことができれば、授業中の理解度が向上します。また、LDの子どもたちが視覚的な配置を認識しやすくなることで、数学や地理などの空間把握が求められる科目に対しての苦手意識が軽減される可能性があります。
スポーツ選手が行うのも上記のような視覚処理能力、空間把握能力、集中力などを高めるためです。
これらの能力はスポーツに欠かせず、授業を受ける際の視覚処理能力にも必要、要するに勉強にも運動にも共通するということです。
したがって、発達障害の有無にかかわらず、すべての子供たちがビジョントレーニングを行うべきなのです。
ビジョントレーニングを行うことで、すべての子が運動神経だけでなく、文字を読む力や集中力が増し、学力向上に寄与するのです。
ビジョントレーニングは目と脳の連携を強化することも目指しており、これにより情報の処理速度や効率を高めることが期待されています。視覚的な情報をよりスムーズに処理できるようになると、学習のスピードが上がり、集中力も保ちやすくなることから、学習の成功体験を積むことができ、自信にもつながります。子どもにとって、ビジョントレーニングによって得られるこうした「成功体験」や「自信」は自己肯定感の向上にも大きく影響します。
実際に、ビジョントレーニングを取り入れた結果、視覚情報の処理や集中力が向上したケースが報告されていて、科学的に効果が裏打ちされています。一部の研究では、ビジョントレーニングによって視覚処理速度が向上し、読み書きや計算などの基礎的な学習スキルの改善が見られるのです。また、こうしたトレーニングを続けることで、子ども自身が視覚情報を整理する方法を学び、自主的に情報を扱うスキルを高めることができるとされています。
ビジョントレーニングは、簡単にご家庭でも取り組むことができる点が魅力です。専門家の指導のもとで行われるトレーニングもありますが、日常生活に取り入れられる簡単なエクササイズも多く、例えば絵本の中で特定の色を探したり、パズルや迷路で視覚的な集中力を養ったりすることも有効です。また、デジタルアプリを活用してゲーム形式で楽しみながら行うことも可能です。家庭での遊びながらのトレーニングは、親子で取り組むことで子どもが視覚トレーニングを前向きに捉え、習慣化しやすくなります。
一方で、すべての子どもに同じトレーニングが効果的とは限らず、個々の特性に合わせたプログラムが重要です。専門家の評価や指導のもとで最適化されると、子どもにとって負担が少なく、効果的に行うことが可能です。
ちなみに天白スーパーキッズではblazepodを使用し、楽しみながらビジョントレーニングを行うことができるよう工夫しています。
ビジョントレーニングは子どもたちの視覚認知力や集中力を高め、学習や日常生活の質の向上を助ける方法のひとつです。個々のニーズに合わせたトレーニングが行われることで、子どもが視覚情報を正確に処理し、集中力や注意力が向上することで、学校生活や学びに対する意欲も向上すると期待されています。
アスリート志望の選手だけでなく、学力向上の強力なサポートとしても今後必要不可欠なトレーニングとなるでしょう。
この機会にビジョントレーニング、ご家庭で取り入れてみてはいかがでしょうか?